タンパク質寿命が制御するシン・バイオロジー

Shin-biology regulated by protein lifetime
文部科学省 科学研究費補助金 学術変革領域研究(A) 令和5年〜9年度

Publicly Offered Research

公募研究の役割

計画班で骨格となる研究を推進しますが、タンパク質寿命制御に関する研究は、バイオロジーオや疾患の点、そして分解に関わる仕組みの点で多岐にわたるため、計画研究でカバーできない研究を公募班として募ります。
研究項目A01「タンパク質寿命動態のバイオロジー」では、網羅的にタンパク質寿命変動を計測し、その制御機構の解明を通じて生命現象の新しい理解につなげます。計画研究では、主に細胞老化、神経幹細胞分化、もやもや病を対象として研究を推進しますが、公募研究では、それ以外の、タンパク質寿命制御の関与が強く想定され、解明することに新規性がある生命現象や疾患発症機序などを扱う提案を期待します。なお、本領域では特定のタンパク質の寿命制御のみに焦点を当てた研究は対象とせず、タンパク質集団の大規模寿命制御機構の研究を主軸とします。
研究項目A02「タンパク質寿命決定の仕組み」では、タンパク質寿命を決定する新しい分子機構の解明を目指します。計画班では真核細胞の二大分解系ユビキチン・プロテアソーム系とオートファジー・リソソーム系に着目し、主として分岐型ユビキチン鎖、ユビキチン鎖の識別機構、液–液相分離による分解促進機構の研究を推進します。公募研究は、必ずしも二大分解系や細胞内を対象とする必要はありませんが、特定の基質–寿命制御系の対応関係のみではなく、幅広い対象基質をもち、タンパク質構成の大きな変容を伴う寿命決定の仕組みを扱う提案を期待します。
研究項目A03「タンパク質寿命の計測と制御」では、タンパク質半減期の高深度測定と情報科学的解析、標的タンパク質寿命制御ツールの開発を目指します。計画研究では、高深度半減期測定技術の確立、寿命とプロテオフォームとの相関解析、オーキシンデグロン法やPROTACを発展させた新しいタンパク質寿命制御技術開発を目指します。公募では、合成生物学、分析化学、情報科学、有機化学、計算科学等様々なアプローチで、タンパク質寿命の計測・制御・情報解析・数理解析に関わる新しい手法やツールの開発を行う提案を期待します。
総括班には、質量分析計測チーム、情報解析チームを設置しており、計画研究と相乗的に展開可能で、本領域の発展に貢献できる提案、特に若手研究者や女性研究者による多様かつ独自性の高い研究を公募研究として広く募集します。